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流通革命

この言葉は、1962年に東大経済学部助教授「林周二」氏が書いた本の題名だそうです。
彼が考えた「流通革命」は簡単に言えば流通業の合理化でした。
日本は欧米に比べて、その伝統的な流通が著しく遅れていることを書いたのです。

その革命は、小売の立場に立てば問屋を外してメーカーと直接取引きして、中間のマージンを削除するという簡単なものでした。
これを読んだ経営者たちの多くが賛同しました。

「古い流通の体質を変えて、消費者により安くより良いものを供給するのが自分たちの使命なのでは」
そしてコンサルタントという新しい職種が、この言葉の元に経営指南をすることになって行きました。
そうして小売業、多くはスーパーですが、この言葉の夢に向かって、大量の経営資金を投入することになります。

どうでしょう。
この本が書かれてから、すでに40年が過ぎているわけですよね。
短期間にそれまでの秩序を破壊して新しい秩序を作るという作業は、果たして成功したのでしょうか。
さまざまな企業がその革命を実行して努力して来たにもかかわらず、新しい秩序は生まれていないのではないだろうか。

いえ、もしかしたら、出発点の「流通革命」という考え方が、間違っていたのではないだろうか。

ムダな努力に自ら苦境に立たされた小売業。
もう一度、中間業者の行ってきたことを見直してみる時期が来ているということを書きたかったのです。

商社があるから、日本のベンチャーの中小企業が頑張れるし、問屋があるから、小売業の参入の障壁が低くなって健全なる競争が可能になる。
問屋や商社を活用すると、日本経済は活気が出て、しかも物価は安くなるのです。

まだ、何故そうなるのかは、見えてませんよね。
結構、説明が長くなりそうなのです。
とりあえず、結論から書きました。

その証明は「菱食」「国分」「伊藤忠」の増収増益を見れば、明らかですよね。
商社もまた、厳しい競争を経て、ITや新しい分野でしなやかに泳いでいるのです。
かつては、批判の矢面にあった中間業。
ウソの仮説だったことを、教えてくれます。

さて、ハードな内容になってしまい、げんなり〜ってしてるかも。
でも、結構、簡単な構図です。
分かりやすく説明するとですね、
ダイエーの経営失敗が、1番の参考になるでしょう。

ダイエーが「流通革命」に乗って、経営の合理化を進める以前、
ここの中間業者の使い方は、とても上手いものでした。
まず、資金です。
支払いのサイトを長くすることで、銀行金利を稼ぐ。
これから都市化してゆく場所を確保して、少ない資金で店舗の拡大を行っている。

そうです、これは「アメリカ型」の展開でした。
日本では、人口の少ない場所に店舗に店を構えるなんて考えられなかったことでしょ。
それを、アメリカに習って実行したのです。
そして、定番のブランドの開発。ダイエーブランドだよね。

そこに流通革命という、新しい言葉が入り込んだんだから、
当然、新しいことの大好きなダイエーは、飛びつくわけです。

しかし、流通革命には、大きな落とし穴が存在していました。
それは、消費者ニーズです。
まず、食です。日本人ほどたくさんの食材の嗜好を持つ文化はありません。
そして衣料。定番では満足出来ないし、季節の入れ替わりの早さと、あっという間に古くなって行く流行。
そして、買い物は都会でという行動です。
そして、競争です。


アメリカ型の郊外の店舗では、競合はありません。
隣の店舗まで、かなりの距離があります。満足の前に存在することが大切です。

都市部に集中する日本のマーケットのおいては、常に競争して、品揃えをして、他との違いを明確にしなければ、生き残れなかったということです。
合理化して品数を絞ったり、定番ものだけでは、いずれ消費者は離れて行く。
こんな簡単な競争原理を何故に分からないのでしょうか。
経営コンサルタントって、いったい何?
今ここにある数字だけを見ていたのでは、利益なんていずれ無くなります。
何故、それが中間業者と結びつくのでしょうか。


話はそれるけど、阪神の活躍は、今の星野監督ばかりの功績じゃないよね。
前任者の野村さんが、選手をちゃんと育てていた結果でもあります。
ちゃんと、原因と中間と結果があると思います。

この話を進める前に、日本は本当に財政破綻してるのか、
アメリカは本当に黒字に転換して景気が良いのか?
この2つを考えてみて欲しいと思います。

財政の赤字を強調しすぎて、不景気に陥ったのでは無いのか?
日本の本当の現実を、大蔵省は発表してないのでは無いのか?
この疑問が、頭にありました。
実は、財政年度というのは「単年度」しか数字で出てこないものなのです。
簿記・会計の知識がある方なら、きっと分かると思いますが、

対GDP比80%は数字だけ見たら、確かに高い。
しかし、社会保障費の積み立てを参入していない数字なのです。
これを参入すると対GDP比は10%になるのです。
ヨーロッパ諸国は、20〜50%ですから、しかも社会保障費は税金でまかなってますから、
言われるほど不健全な財政だったとは、思えないのです。

では、何故にこんな数字を出してきたのでしょう。
多分「景気回復」よりも「財政構造改革」を優先させたい大蔵省のレトリック。

日本はもうだめだ。遅れた。そんな意識を植え込んでしまったのです。
それは、日本の流通に関しても同じです。
欧米に追いつかなければならない。目指せ「アメリカ」。まるで宗教みたいだよね。
古い=遅れてる=悪い
最初から、こんな想念に覆われていた、そんな時代の置き土産の「流通革命」

物を売る。
店頭に品物が並ぶまで、どのくらいのものが必要でしょうか。
製造された商品・収穫物・水産物などなどが、
たくさんの輸送手段によって店という設備のある場所で販売する人間の手で消費者まで届きます。
ここには、隠された「エネルギー」が販売原価として入っています。
運ぶトラックのガソリンや電気、高速料金。建物・陳列設備・鮮度を保つための電気代など。
商品販売は、これに労働が加わります。
全ての付加を足して、初めて原価なのです。


生産性を他国と比較してはいけない部分は、昨日と同じ結論「消費者ニーズ」です。
そこで、各小売業者が、その多様な品揃えに自分で対応するとしたら
ものすごい「在庫」というリスクを背負わなければなりません。

そうです。ダイエー破綻のきっかけは。この「在庫」でした。

「消費者ニーズ」によって多品種少量化の品揃えをして、自社で「在庫のリスク」を負ってしまった、スーパー。

しかも、直接取引きでは「返品システム」が使えません。
それまでは「商社」や「卸売り」が返品システムを可能にしていたのです。
それまで、役割分担をして来た部分をカットした結果、投入される経営資源のリスクをすべて小売が負担することになったのです。
だから、商社や卸売りの経費を削減するという流通革命の趣旨と違って、
結局、小売業者が卸売り部分の経費も負担することになりました。
だから、物の価格が下がらなかったのです。


もっと困ったのは「労働」と「設備」を自社で備えなければならなかったことです。
人件費もエネルギーの価格も参入されます。

小さな会社なら、設備投資よりも人件費のほうを選ぶのかも知れません。
大手になると、人件費よりも設備にお金をかけるようです。
今、リストラで辛いことが多いですよね。
これも、少し違うかなって思っています。
そりゃ、長期で見たら経費が少なくなるでしょう。

店舗を大きくして従業員一人あたりの売り場面積の拡大をする。
まあ、人件費の削減化ですよね。
そこで浮いた経費を設備費や経営資源として使う。
これは逆ですよね。人件費のほうが、圧倒的に安い。コストが少ない。
大型の店舗は、お荷物となってゆく現実が証明してます。

大型化して成功した例もあります。
「ヤマダ電機」などがそうですよね。
ここは、店舗拡大と共に従業員数を増やしたのです。
人件費コストというのは他の設備などに比べて低コストの経営資源だと社長が認識していたからです。

「ディスカウント」が長期にわたって成功してないのも、
「セルフサービス」による人件費の圧縮によってのコストダウンが間違っていた結果です。
ネット販売は?
Eコマースは、成功したのでしょうか。
労働力を使わないからコストがかからず利益が出る?
まだ、営業利益が増えたとは聞かないですね。

人件費を使う=雇用する=消費者になる

最初から「日本の流通業の生産性は低く、遅れている」理論が違っていたのだから。
結論です。
消費者のためになる「流通革命」は存在していなかった。

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